2017 年 86 巻 11 号 p. 977-981
電磁波分光の1種であるマイクロ波分光法は,電極で半導体に接触することなく過渡光電気伝導度をプローブでき,不純物・劣化の影響を受けにくい評価法である.本稿では,光励起・時間分解マイクロ波伝導度(TRMC)法を用いた次世代太陽電池材料の評価・探索・基礎過程の研究について紹介する.有機薄膜太陽電池(OPV)やペロブスカイト太陽電池の素子性能との比較を基に,電荷キャリヤの局所運動を反映するTRMC信号が,光電流や輸送・移動効率といった薄膜のマクロ電子物性とどう相関するかを議論する.独自の装置開発と解析手法から,次世代エネルギー変換材料の開発と探索に向けた展望を述べる.