2018 年 87 巻 11 号 p. 821-827
大気圧下でも適用可能な非平衡プラズマの電子温度・密度計測法には,簡便・安価な実用法として期待される発光分光計測法がある.本稿では,その中でも重要と考えられる2つの方法,衝突輻射(ふくしゃ)(CR)モデルに基づいた線スペクトル強度測定法,および電子‐中性粒子制動放射による連続スペクトル測定法について,その原理と実測例を紹介する.特に前者については,モデル計算の結果を実際の分光測定結果に実用レベルで適用するための手法として,「主要素過程抽出法」,「2線対法」,そして「励起温度換算法」の3手法を紹介する.最後に,連続スペクトル計測による実測例を紹介し,この方法ならば原理的には電子エネルギー分布関数(EEDF)をも求められることに触れ,今後の研究展望を述べる.