2018 年 87 巻 6 号 p. 431-435
アゾベンゼン誘導体を側鎖にもつポリマー(アゾ系ポリマー)に光を照射すると,アゾベンゼンの光異性化反応によって分子が空間的に移動することで,ポリマーが変形する.この現象を利用すれば,光エネルギーを運動エネルギーに直接変換することが可能となるので,光によるメカニカル機能を発現でき,光駆動のナノ分子機械などへの応用が期待される.また,誘起された変形形状が入射した光の強度分布や偏光状態に依存することを利用すれば,光の回折限界によって光学顕微鏡では観察することのできないナノ物質周囲の光の状態を観察することもできる.本稿では,アゾ系ポリマーの光誘起物質移動現象を概説し,それを利用した金ナノ粒子のプラズモン増強場ナノイメージングへの応用例を紹介する.