応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
研究紹介
分子モータを用いた再構成可能スピン偏極デバイス
須田 理行山本 浩史
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2020 年 89 巻 4 号 p. 203-207

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抄録

電子がカイラルな分子を通過すると,スピン偏極が生じるという現象(CISS)を利用して,新たなスピン偏極電流源を作製した.このデバイスで我々が用いたのは分子モータと呼ばれる可動性の分子で,光と熱によって1方向に内部回転を行う.この回転が4ステップに分割されたカイラリティ反転を伴うため,モータ分子の薄膜を内蔵したスピンバルブに対して光を照射したり熱を加えたりすることによって,電流のスピン偏極を反転させることに成功した.これは新たなタイプの再構成可能なスピン偏極デバイスであり,電子回路におけるスピン偏極源としての有機分子の可能性を示している.

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© 2020 公益社団法人応用物理学会
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