2020 年 89 巻 5 号 p. 260-264
最近のレーザートムソン散乱(LTS)計測の事例として,半導体露光用極端紫外(EUV)光源用プラズマの構造解明研究を紹介する.本研究では計測用レーザーからの迷光を低減しつつ,電子温度の検出下限を従来システムから2桁程度向上させた.これにより協同散乱のイオン項を検出し,電子密度・温度,平均イオン価数の計測を可能とした.直径0.5mm以下のサイズである光源の電子密度・温度の2次元空間分布・時間進展を調べると,EUV発光効率がよい生成条件では,特徴的な中空様の電子密度構造をもつことがわかった.LTS計測を行えば,多価電離プラズマからのEUV光出力の高低が,電子密度・温度状態にまで立ち返って評価可能となることを示す.