2020 年 89 巻 5 号 p. 269-273
核医学診断法は「縦割り」状態にある.原理の違いからPETとSPECTに分かれているが,我々は,これが核医学の潜在能力を生かせていない一因であると考えた.そこで,「計測可能な放射線の全てを画像化に生かす」という新しいコンセプトを掲げ,WGIと名付けた.具体的には,他分野で発展してきたコンプトンカメラの方法をPETに組み合わせた.複数の検査が同時にできるだけでなく,これまでは敬遠されてきた高エネルギーガンマ線を出す陽電子放出核種にスポットライトを当て,新しいイメージング法が可能になると期待される.本稿では,WGI装置試作による原理実証について紹介する.