2020 年 89 巻 5 号 p. 274-277
量子コンピュータを構成する量子計算回路の基本素子として,従来の集積技術を転用可能なシリコンスピン量子ビットに高い注目が集まっている.さまざまな量子ビット素子が提案される中,我々は急峻(きゅうしゅん)スイッチング素子への応用に向けて開発してきた等電子トラップ援用トンネルFETが量子ビットとして動作することを見いだし,10Kまでの量子ビット動作に成功した.本稿では背景となる最近のシリコン量子ビット素子の研究状況について述べ,本研究における実験結果を紹介する.