2021 年 90 巻 3 号 p. 172-175
磁気モーメントの歳差運動が位相差をもって磁性体中を伝わる高周波信号は,スピン波と呼ばれる.このスピン波を使って新しい情報処理デバイスを作ろうという研究が盛んになっている.半導体ベースの電子回路では電荷移動を使って情報を伝えるが,スピン波の場合は,電荷移動ではなくスピンの位相により情報を伝える.このことから,スピン波デバイスは,次世代の低消費電力デバイスになると期待されている.本稿では,磁性絶縁体中で生じるスピン波の位相干渉を用いた基本的な論理デバイスの実証実験およびデバイス小型化に関する研究を紹介する.