応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
研究紹介
ダイヤモンド放熱基板を用いたGaN-HEMTの開発
檜座 秀一西村 邦彦柳生 栄治山向 幹雄
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2021 年 90 巻 3 号 p. 167-171

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抄録

高周波帯向け電力増幅器における増幅素子として用いられる,窒化ガリウムベースの高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)の増幅動作時局所温度上昇による素子性能低下を抑制するため,熱伝導率の極めて高いダイヤモンド基板とGaN-HEMTを,接合法により一体化する取り組みを進めている.今回,表面活性化常温接合法を用いることで,機械研磨法により精密研磨した単結晶ダイヤモンド基板,および触媒反応を利用した研磨法により精密研磨した多結晶ダイヤモンド基板と,GaN-HEMT層との接合形成に,それぞれ成功した.試作した接合デバイスの電気的特性,ならびに動作状態での表面温度測定結果より,ダイヤモンド基板を接合したGaN-HEMTデバイスは,Si基板上デバイスと比較して,放熱性改善により動作時の局所温度上昇が大幅に抑制されるとともに,素子性能が向上していることが明らかとなった.これらの結果より,提案した素子構造,およびその作製プロセスの有効性が示された.

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© 2021 公益社団法人応用物理学会
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