固体NMRおよび3次元電子回折(microED)を相補的に用いて,微結晶の構造解析を行う手法を開発した.電子回折を用いることにより大きさが1µm以下の微結晶の構造解析が可能となるが,その構造には①水素位置,②炭素・窒素・酸素の正しい帰属に不確実さが残る.一方で,固体NMRは,相補的な情報を与えることができる.すなわち,固体NMRは水素(1H)を直接観測することができ,炭素(13C),窒素(14N, 15N),酸素(17O)を明瞭に区別できる.そこで,固体NMRで得られる化学シフトおよび原子核間双極子相互作用(1H-1Hおよび1H-14N)を用いて,電子回折で得られた構造をNMR結晶学のアプローチにより精密化した.