2023 年 92 巻 3 号 p. 156-160
カーボンニュートラル実現のためには太陽エネルギーの有効利用が極めて重要であり,エネルギーを余すことなく利用できる発電技術が望まれる.熱光起電力発電(Thermophotovoltaics: TPV)を用いた太陽エネルギーの電力変換システムであるSolar-TPVでは集光太陽光により中間体を加熱し,放射される熱輻射(ふくしゃ)を光起電力セルで電力へ変換する.したがって本質的に太陽光の全波長利用が可能であり,かつ単接合セルでも高効率変換が期待できる.本稿ではSolar-TPVの高効率化において重要となる熱輻射スペクトル制御技術および実際に行った発電システムの設計と発電試験について紹介するとともに,Solar-TPVによる太陽エネルギー高度利用の可能性について示す.