2023 年 92 巻 5 号 p. 278-282
神経細胞の培養技術とマイクロ流体デバイスを融合することで,複雑な脳神経回路の構造と機能の一端を生体外に再構成することができる.本稿では,100細胞程度の小規模な神経回路を操作して,生物の脳神経回路を特徴づけるモジュール構造を再現するためのマイクロ流体デバイスの開発や,多点電極アレイを用いたモジュール構造型培養神経回路の機能計測について紹介し,このような基盤技術が脳情報処理の物質的基盤としての神経回路の構造と機能との関係を明らかにするための新しいテクノロジーとなりうることを議論する.