2025 年 94 巻 2 号 p. 79-83
従来の熱電モジュールは,温度差と発電方向が同じ「縦型」構造のために,電極・熱電材料の界面部分が高温になることで元素拡散などの反応が起きてしまい劣化するという課題を抱えている.これに対し,温度差と発電方向が直交する「横型」熱電モジュールは,電極界面を高温熱源と空間的に分離可能であることから,優れた耐久性を有すると期待できる.本稿では,横型熱電モジュールを実現するために,1つの材料中でキャリア極性(p型・n型)が方向によって変化する「ゴニオ極性材料」について紹介する.特に,我々が最近ゴニオ極性を観測したMg3Sb2およびMg3Bi2を例として,電子軌道の異方性に着目した材料開発について焦点を当てる.