2025 年 94 巻 4 号 p. 197-201
人工知能技術の急速な発展に伴いエネルギー消費は一層深刻化している.この問題を解決する新規デバイスとして,室温の熱を利用した確率計算機が提案され,スピントロニクス分野で実証されている.磁性デバイスをチューニングし,スピンがあえて熱揺動の影響を受けやすくすることで,その実証を可能にしている.そして磁性体薄膜中に発現するスピン構造である磁気スキルミオンは,粒子としてふるまいスピンの熱揺動をブラウン運動として示す.本稿ではこのブラウン運動を利用した外部エネルギーをほとんど必要としない「ブラウニアン計算機」について紹介し,磁気スキルミオンの固体中でのブラウン運動の物理・制御および実証例を解説する.