1988 年 57 巻 11 号 p. 1721-1727
ホット分子(加熱により並進および内部エネルギーを高めた分子)ビームを用いた,半導体素子製造用表面処理技術の研究を行っている.本技術は,表面損傷発生という,現行プラズマプロセスの本質的問題点を解決し,極低損傷性,高選択性,微細加工性を同時に満足しうることを,原理的特長としている.本稿では,ホット分子ビームを用いる利点について説明し,次いで,塩素のホット分子ビームを用いた多結晶Siエッチングにおいて,上記原理的特長を実擦に確認する.さらに,エッチング表面反応機構,特にホット分子のもつ振動・並進エネルギーが,表面反応に及ぼす効果について検討する.