日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PB-025
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バーチャルリアリティのコンテンツの呈示手法によって臨場感に影響する性格特性は異なるか?―コンピュータグラフィックスと全周囲パノラマ動画の比較―
*宮野 秀市
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抄録

バーチャルリアリティのコンテンツの呈示手法によって臨場感に影響する性格特性が異なるか否かを検討するために,コンピュータグラフィックス(CG)と全周囲パノラマ動画(PV)の仮想環境の臨場感に影響するMMPIの項目を比較した。CG条件では,大学生と大学院生59名がMMPIに回答した後,CGで構築した仮想環境の中でジェットコースターの乗車体験をし,1~100の範囲で臨場感を報告した。直接確率検定の結果,高臨場感群(n=16)と低臨場感群(n=16)で,MMPIの16項目の是認率に有意差が認められた。この16項目の合計得点(cg16)と臨場感得点との間には正の相関が認められた(r=.77, p<.01)。PV条件では,大学生43名がMMPIに回答した後,仮想環境の中で吊り橋を渡る体験をした。高臨場感群(n=12)と低臨場感群(n=15)で,MMPIの18項目の是認率に有意差が認められた。この18項目の合計得点(pv18)と臨場感得点との間には正の相関が認められた(r=.75, p<.01)。しかしながら,CG条件における臨場感とpv18との間,PV条件における臨場感とcg16との間には相関は認められず,コンテンツの呈示手法によって臨場感に影響する性格特性が異なることが示唆された。

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