主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
自動車運転時の情報処理は視覚情報への依存が大きく,注意制御の観点からは特に運転者の安全に関わる領域へ注意が払われやすい。また,安全に関わる情報処理において,人は道徳判断での危害/保護の刺激に対して敏感に反応しやすく(Haidt, 2007),自分自身を道徳的に正しいと捉える傾向がある(Epley & Caruso, 2004)ことから,運転時には自己の正当性を確証しやすいと考えられる。すなわち,運転時の自己を取り巻く環境は認知バイアスを強め,危険な状況の責任を他者に帰属しやすいことが予測される。本研究では,自動車の交通事故発生時の過失割合を推定する課題を作成し,他者の意図および被害状況を操作したオンライン調査を実施した。ランサーズで一般参加者455名を対象としたオンライン調査を行った結果,他者の意図が明確な場合には他者に責任帰属を,被害を受けた場合には自己に責任帰属をする傾向がみられた。この結果から,他者の行為主体性を知覚する場合には敵意帰属バイアスが生じ,他者の責任を過大視する傾向を反映している可能性が考えられる。また,個人のパーソナリティ特性として,サディズムの高さは状況とは独立して他者への責任帰属を強めていた。