日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-018
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4. 臨床・障害
鉄道飛び込み自殺の多発する駅及び飛び込み地点の特徴
*末木 新
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キーワード: 鉄道自殺, 自殺予防
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抄録

鉄道自殺は多大なる経済的損失を発生させるが,その対策は十分に進んでいない。そこで本研究では,鉄道自殺が発生しやすい駅及びホームにおける飛び込み地点の特徴を明らかにした。研究1では,2014年4月~2019年9月における国内の大手鉄道会社全線における駅ごとの飛び込み自殺発生件数をまとめ,駅の特徴を独立変数,自殺発生件数を従属変数としたポアソン回帰分析を行った。研究2では,鉄道飛び込み自殺が多発する駅のホーム上を鉄道会社職員と訪れ,飛び込み発生地点(n=50)の特徴を明らかにし,各地点での自殺発生割合を数量化した。研究1の結果,自殺多発駅は,通過列車が通る,利用客数が多い,近隣に精神科病院があるという特徴を有することが示唆された。研究2の結果,飛び込み地点には4つの特徴(ベンチ・待合室前,ホーム始端,ホーム侵入口,運転手からの物陰)があり,飛び込み地点の約半数はベンチ・待合室の前であった。駅およびホーム上の自殺の発生場所には特定の偏りがあるため,こうした地点に対して集中的に自殺対策を実施すること(例:ホーム上のパトロール)が効果的な自殺対策の実現につながると考えられる。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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