主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
【目的】幼児期からの遊び経験はストレス緩和効果を導き,遊戯的性格が強い学生は,ストレス耐性が高いことが報告されている。遊びの楽しさは,ポジティブ情動を喚起し,レジリエンスを醸成する。本研究では,幼児の遊びによる情動コントロールが可能であることを実証する。【方法】S市のA幼稚園の年中組17名に登退園の2回に分けて唾液採取を行い,実験協力者の母親に,Children’s Playfulness Scale (CPS; Barnett, 1991) 邦訳版を施行した。質問紙と唾液検体が揃った15名の親子のデータを分析した。【結果】CPSの認知的自発性は,各々登園前唾液中コルチゾール濃度との間にr=-.65 (p<.01),退園前唾液中コルチゾール濃度との間にr=-.73 (p<.01)の相関が認められた。コルチゾールは,CPSとの相関は認められなかった。CPSの自発的身体活動は,唾液中コルチゾールの一日変化量との間にr=-.58 (p<.05)の相関が認められた。【結論】唾液中コルチゾールは日内変動があり午後には増加する傾向にあるが,園での自由な遊びはコルチゾールの減少に寄与すると考えられる。まず自発的な身体運動がコルチゾールの生成を抑制し,楽しさ感情が遊びを持続させると推測された。