主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
体験の観察はマインドフルネスの要素であり,内的・外的な体験に気づいていることや注意を向けることを示す。体験に注意を向けることはマインドフルネス瞑想でも用いられる。そのため,体験の観察はマインドフルネスの中心となる要素といえるが,必ずしも適応的な効果が示されてはいない。体験の観察が奏功するには,マインドフルネス瞑想によって改善する注意機能が重要である(高田他,2016)。そこで本研究では,縦断調査によって体験の観察とwell-beingの因果関係に対する注意機能の影響を検討した。コミュニティサンプル580名を対象とした。注意の制御の得点で3群にわけた多母集団同時分析を行い,注意の制御が高い群でtime 1 の体験の観察がtime 2 のwell-beingを向上させることが分かった。またいずれの群でもtime 1 のwell-beingからtime 2 の体験の観察への効果は示されなかった。縦断的に検討した場合でも注意の制御が高い場合に,体験の観察がwell-being向上させることわかった。注意の制御と体験の観察の高さによって,自分の体験に気づきつつ,適切なところへ注意を向けたり不適切なところから注意を逸らすことができる。このような態度がwell-beingに寄与したと言える。