主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
人間は他者の顔つきを手がかりとしてその性格や能力を判断しやすいとされるが,そうした顔特性推論を実際に極端に行う程度には個人差がある。この個人差がどのような変数と関連し,どのような原因・作用を持つのかはまだよくわかっていない。本研究では,顔特性推論が社会的カテゴリーにもとづく特性推論(例えば,「笑顔の人は信頼できる」,「赤ちゃんは無知」,「女性はか弱い」など),つまり,ステレオタイプと密接に関連するという指摘をもとに,カテゴリーにもとづく特性推論を極端に行う人(ステレオタイプ化傾向の高い人)ほど極端な顔特性推論を行うという仮説を検証した。米国人を対象としたオンライン調査(有効サンプル数n=312)の結果,顔特性推論の極端さとステレオタイプ化傾向の間に中程度の正の相関が認められた(r=.442, p<.001)。両者の関連は,任意の質問に対して社会的に望ましい選択肢を選ぶ傾向や極端な選択肢を選ぶ傾向といった一般的な反応バイアスでは説明できないものであった。この結果は,顔特性推論がステレオタイプ化傾向と結び付いているという予測を支持するものである。