主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
前報(菅野,2018)では遅延聴覚フィードバックへの順応が行為主体感の知覚的感度ではなく判断基準を変化させることを明らかにした。本報では被験者を増やしてさらに分析を進め,行為主体感の時間窓(TWA)と同時性の時間窓(TWS)の順応に伴う変化を検証した。被験者は大学生18名で,その課題は純音(2 kHz,30 ms,ヘッドフォン呈示)の等時間隔の見本音列(4~7個。IOIは 500, 600, 700 ms)をマウスクリックで再生することであった。再生は2回行われ,最初は被験者自身が音を鳴らし(音の遅延を 80 msか 180 msで操作),2回目は50%の確率でコンピュータが途中で入れ替わった。被験者は音を鳴らしたのが自分かコンピュータか(AJ),マウスクリックと音が同期していたか否か(SJ)を判断した。コンピュータが入れ替わった試行について,AJ判断を従属変数,マウスクリックと音の時間差の平均値を独立変数としてガウス関数をあてはめTWAの形状を推定した。同様にSJ判断によりTWSの形状も推定した。遅延聴覚フィードバックへの順応によりTWSの中心と幅が変化したが,似た傾向を示しつつもTWAの変化は小さく,TWSと比較してTWAは遅延順応による変化を受けにくいことが示された。