日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PM-021
会議情報

13. 情動・動機づけ
内受容感覚の鋭敏さは道徳的判断に影響するか?
*田村 佳秀小林 能成大平 英樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

意思決定は,感情の源泉である身体反応や内受容感覚の影響を受けることが示されている。道徳的判断においてもそれらの影響が示唆されているが,その詳細はまだ明らかになっていない。そこで本研究では,内受容感覚の鋭敏さが道徳的判断に及ぼす影響について,意思決定に関連する感情である後悔を取り上げ,検討を行った。女子大学生33名(平均20.84歳)を対象に,心拍カウント課題と道徳的判断課題を実施した。道徳的判断課題では,義務論的判断か功利主義的判断かの選択を求め,その反応時間を測定した。加えて,自分が選択した行為を実際に行った際に経験すると思われる後悔の評定を求めた。内受容感覚・判断・反応時間を独立変数,後悔を従属変数とする重回帰分析を行ったところ,一部の課題では三要因の交互作用がみられた。内受容感覚が優れる個人は功利主義的判断を短時間で行うほど後悔が大きく,義務論的判断を短時間で行うほど後悔が小さい傾向がみられた。内受容感覚が鋭敏な者は感情への感受性が高いために,認知的制御が必要である功利主義的判断と比較して直観に基づいた義務論的判断を行った際に生じる葛藤が少なく,後悔を低く評定する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top