主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
SNSは他者と文字でやり取りするため相手の感情が想像しにくい。そのため,SNSのトラブルは対面時より罪悪感が低いと考えられる。本研究はネットいじめの実態やネットいじめ加害者の心理特性を検討した。
調査1は大学生107名を対象に,過去のいじめ加害・被害経験による攻撃性の違いを検討した。その結果,短気,身体的攻撃,関係性攻撃はいじめ加害経験のある人がない人より高かった。さらに,短気,敵意はいじめ被害経験のある人がない人より高かった。
調査2は高校生140名,大学生96名を対象に,いじめ場面(ネットいじめ,関係性いじめ,言語的いじめ)による罪悪感の違いを検討した。二要因分散分析の結果,学校段階の主効果がみられ(F(2, 234)=16.63,p<.01,偏μ2=.07),高校生は大学生より罪悪感が低かった。学校段階×いじめ場面の交互作用もみられた(F(2, 234)=6.71,p<.01,偏μ2=.03)。大学生の罪悪感はネットいじめが関係性いじめ,言語的いじめより低かった(Bonferroni法,p<.05)。高校生の罪悪感はいじめ場面で違いがなかった。
以上より,SNSを使用し始める時期から,SNS上の交流の特徴や心理的影響を生徒に指導する必要性が示唆された。