日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PP-087
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16. 教育
教員養成課程の大学生における職業決定とアイデンティティ発達との関連
*宮原 道子
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抄録

開放制型の教職課程履修者128名と,非履修者121名を対象にアンケートを行った。アンケート内容は,アイデンティティの発達を測るDIDS-Jと職業決定尺度及び就業動機尺度であった。

就業動機尺度の因子分析結果から,自己向上志向動機,上位志向動機,対人志向動機の3つが得られた(信頼性係数αは0.84~0.89)。DIDSからは,コミットメント形成,コミットメントとの同一化,広い探求,深い探求,反芻的探究の5つの得点が算出された。職業決定尺度からは職業決定得点が算出された。

上記の指標(自己向上志向動機,上位志向動機,対人志向動機,コミットメント形成,コミットメントとの同一化,広い探求,深い探求,反芻的探究,職業決定)の値が,教職課程履修者群と非履修者群では異なるのかを調べるために,多変量分散分析を用いて両群を比較した。その結果,教職課程履修者のほうが,深い探求と対人志向動機において,有意に高い得点をとっていることが示された(探求F(1,247)=5.179,p<.05,対人F(1,247)=9.041,p<.01)。したがって,教職課程履修者のほうが,職業において人との協調や協働を志向し,アイデンティティの発達において深い自己探求をしているといえる。

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