抄録
2006年,「ドイツスポーツ連盟」(Deutscher Sportbund)と「ドイツ・オリンピック 委員会」(Nationales Olympisches Komitee für Deutschland)が合併してドイツ・オリ ンピックスポーツ連盟(Deutscher Olympischer Sportbund/DOSB)が創設され,ド イツのスポーツ統括組織となった。本稿では,合併の主な目的ならびに現在の目標と組 織体制について,DOSB と障害者スポーツ団体,とりわけドイツ・パラリンピック委員 会としての機能も果たす「ドイツ障害者スポーツ連盟」(Deutscher Behindertensportverband)との関係を中心に論じる。
両組織は,例えば,オリンピック・パラリンピック大会のミュンヘン(2018年/2022 年)およびハンブルク(2024年)への招致の準備をはじめ,さまざまなプログラムやプ ロジェクトに協力して取り組んでいる。ドイツでは,「障害者の権利に関する条約」に 基づく取り組みをはじめとして,「インクルージョン」(包摂)がスポーツにおける数々 の取り組みのキーワードになっている。DOSB の加盟組織全98団体の協力の下,重要な 文書が作成され運用されている。「スポーツにおけるインクルージョン」については, 「インフォメーションペーパー」,「ポジションペーパー」が作成され,これらを経て現 在は「2015-2018年戦略ペーパー」が運用されている。これら文書の概要を本稿で簡単 に紹介する。
「ドイツ・スポーツバッジ」と呼ばれるスポーツ競技大会の仕組みも,両組織間の協力の一例である。年齢,ジェンダーおよび障害の有無を問わず,すべての人々が参加できる形での改変を経て,「スポーツバッジ・ツアー2015」はインクルージョンをテーマに掲げて実施された。他にも,オリンピックデー(6月23日),選手権大会,ユース競技大会,オリンピック・パラリンピック・ユースキャンプなど,障害者と健常者がともに参加するスポーツイベントが数多く実施されている。本稿では,ドイツのスポーツにおける機会の平等とインクルージョンに向けた次のステップについても概観する。