抄録
ナトリウムホウケイ酸塩ガラスにおける臨界応力以下の亀裂伸長挙動を, DCDC破壊試験片を用いて調査した. 不活性雰囲気下での疲労特性を調べるために, 亀裂伸長実験は脱水したヘプタン中, 25℃の条件下で行った. その結果, 破壊靭性値と疲労特性は顕著な組成依存性を示すことが分かった. 破壊靭性値は, Na2O-B2O3-4SiO-2ガラスで最大値1.03MPam1/2をとり, この組成依存性はガラス中の4配位ホウ素の割合と相関があることが示唆された. 一方, 疲労特性を表すKI-v曲線については, 3配位ホウ素の存在比が大きいほど曲線の傾きが小さくなり疲労が起こり易くなることが示唆された. さらに, ガラス中のミクロな相分離が疲労特性に影響を与えることが明らかになった.