抄録
安定化ジルコニアは高温での酸素透過性を有することから,酸素センサーや燃料電池の固体電解質材料等に利用されている。この材料の様々なサイズ,形態を有する厚膜作製の目的で,市販の安定化ジルコニア微粉末の電気泳動堆積を試みた所,堆積量の増加と共に亀裂の発生と剥離が顕著になり,十分な堆積量が得られない場合があった。そこで,共沈法によって市販のものと性状(特に粒度分布)の異なる安定化ジルコニア微粉末を作製して電気泳動堆積を試み,粉末性状の影響について検討した。その結果,比較的高温の仮焼温度と中程度の粉砕条件により得られた,過度に微細でない原料粉末を使用することで,安定した堆積量が得られることが分かった。