抄録
高温域を対象とした廃熱エネルギーの高効率利用が期待されている酸化物熱電材料の中で、ZnO系酸化物熱電材料は既存材料に匹敵する高い電気的熱電性能を示す。しかし熱伝導率が非常に高いため、性能指数は実用水準の3割程度にとどまっている。我々は既に、ZnO系の中で最も優れた熱電性能を示すZn0.98Al0.02Oを母相として、100nmオーダーの閉気孔(ナノボイド)を分散させることにより、熱伝導率のみを効果的に低減できる可能性を見出している。本研究では、ナノボイド構造形成条件の最適化のために、ナノボイド形成材であるポリマー粒子の分散状態を詳細に調べ、フォノンの選択散乱による熱電性能指数の向上を検討した。