抄録
超臨界流体を応用した材料合成プロセスにおいては、流体の特異的な物質輸送能および化学平衡状態を利用することで効率的な原料供給および化学反応の促進が可能であると報告されている。これらの特性は、材料の低温合成や三次元構造体上の段差被覆など、従来の電子デバイス用薄膜製造では達成が困難であった諸問題を包括的に改善する糸口として期待されることから、超臨界流体を利用した薄膜材料合成プロセスの開発が強く望まれる。本発表では超臨界流体中における金属酸化物前駆体原料の分解→堆積挙動を調査することで酸化物薄膜の直接合成の可能性についても検討する。あわせて、種々の基板表面上への薄膜堆積を実施し、温度や圧力などの流体パラメータが堆積物の形状や相状態に及ぼす影響を報告する。