抄録
近年、金属-有機化合物を用いたin-situ合成による無機相と有機相間に結合を有した無機-有機ハイブリッド材料が注目を集めている。これによりナノ粒子の有機マトリックス中への均一分散や光散乱の抑制が可能となり、新機能の発現が期待されている。ジルコニア(ZrO2)は高い屈折率、低い光学損失などという特性から光学分野において広く使用されている。さらに、これを膜化することによりレンズ材料などへ応用されている。また、吸収端波長が240 nmと小さいことから可視光領域では波長依存性の小さい屈折率を示す。一方、チタニア(TiO2)はジルコニアよりも大きな屈折率を持つが、可視光の低波長領域で屈折率の急激な上昇が起こってしまう。本研究では、有機マトリックス中にジルコニアまたはチタニアナノ粒子を分散させ、高屈折率かつ波長依存性の小さい無機/有機ハイブリッド膜を作製し、その評価を行った。また、UV照射による光重合を利用してハイブリッド膜のパターニングを試みた。