抄録
酸化物高温超伝導体を例に、光のペンで望みの特性の材料を作ったり、望みの回路や機能特性を書き込む新しいアプローチについて紹介する。高温超伝導体の典型例として知られるYBCO系では、可視光による電子励起が引き金となって、構造と特性が変化する光誘起構造変化が発現する。この光誘起構造変化により実現する光ドーピング、絶縁体―超伝導転移などの光相制御技術を利用することで、望みの伝導特性の材料を作ったり、絶縁体膜中の望みの場所にナノドット、ナノ細線、ナノ接合などの超伝導回路を書き込むことができる。本講演では、近接場光学顕微鏡を利用したナノスケールの光相制御技術と共に、ナノ光書き込みで実現したナノパターン超伝導素子の特性について紹介する。