抄録
多摩川中流域にある羽村取水堰の下流で河床を構成する礫の動きをモニターして礫径と付着藻類の発達との関係を調べ,礫の移動と付着藻類量の関係を検討した.早瀬に1m×1.5mの方形枠を設定し,マーキングした礫を設置し,礫の移入出を43日間経時的に調べた.出水規模が大きいほどより径の大きな礫が移出した.43日後,方形枠内の全ての礫について径と付着藻類量の間には正の相関が得られた.大きな礫は付着藻類量が大きく安定持続期間が長かった.礫の安定持続期間は付着藻類量に影響を及ぼす重要な要因である.一方,43日間安定であった礫についても,径と付着藻類量の間には正の相関があった.小さな礫は,微小空間において,他の礫との干渉・水流や上流からの移動砂礫による撹乱の影響が大きかった.