抄録
誘電率向上とリーク電流低減を目指し、BST薄膜へのY添加の影響を調査した。
Pt/SiO2/Si基板上にRFマグネトロンスパッタ法により、Y添加量の異なるBST薄膜を成膜し、Pt上部電極を形成後、電気特性を評価した。また、X線sin2Ψ法により、薄膜の面内および垂直方向の歪測定を行った。
Y添加量1.3%で誘電率は無添加に比べて約70%向上した。また、リーク電流は、約一桁低減した。X線回折による歪測定では、Y添加により単位格子の体積が増加すること、また面内の引っ張り歪が減少することが分かった。Y添加による誘電率の向上は、面内引っ張り歪の低減が原因と考えられる。また、Yイオンの半径はAサイトのBaおよびSrより小さく、BサイトのTiより大きい。Y添加による単位格子体積の増加から、YはTiと置換すると考えられる。BサイトのYはアクセプタとして作用すると考えられており、ドナー形の酸素欠損の補償により、リーク電流が低減すると考えられる。
当日は、Y以外の添加効果についても報告する。