抄録
ペロブスカイト構造を有する強誘電体は、優れた圧電特性を示す事で知られている。これらの針状結晶(ナノワイヤ)は究極の小型圧電材料として使用できる可能性があるが、代表的な強誘電体PbTiO3は、水熱合成法でナノワイヤの作製を行うと、ペロブスカイト構造ではなくPXと呼ばれる別の構造が生成することが報告されている。本研究では、高輝度のX線を用いることによりナノワイヤの配向性を検討するとともに、X線をマイクロメーターサイズに集光する事で単一のナノワイヤにおける格子定数の測定を行った。その結果、ナノワイヤの長手方向が[001]軸である事、(100)および(010)面間隔は同一であり単位格子は正方晶である事が確認された。