抄録
非晶質リン酸カルシウム(ACP)は、ヒトの骨の主成分である水酸アパタイト(HAp)の前駆物質として知られている。特に体温付近では徐々に低結晶性のHApに転移する。低結晶性HApはヒトの骨を構成するHApに類似している。この骨類似HApの硬化体を作製できれば、骨と結合し、体内で代謝され易い材料が得られると期待される。さらにこの硬化体を体温付近で作製できれば材料作製中に薬物の導入が可能となり、薬物放出制御が可能な材料が得られると期待される。本研究では0°C付近の低温で合成でき、体温付近で骨類似のHApに徐々に転移するACPを用い、薬物放出制御を目指した骨類似のHAp硬化体を作製しその特性を検討した。