抄録
物質の大きさが10nm以下の領域になると、量子サイズ効果や表面効果が顕著になることによって、電子物性、化学反応性などが大きく変化することが知られている。このような材料をシングルナノ材料と称し、世界中で研究が進んでいる。これらの特性はそれ自体非常に興味深いものではあるが、著者らはこれらシングルナノ材料を構成粒子の一つと考えたシングルナノ複合化を提案し、シングルナノ粒子より多様な用途展開を目指した研究を行ってきた。例えば、結晶構造の異なるシングルナノ粒子上へのヘテロエピタキシャル成長を利用した自己組織的な構造制御を用いることで、マクロ的には等方的であるが、ミクロ的には異方的な結晶構造を有する複合体の合成とその触媒材料としての応用すること。また、セラミックス、金属のシングルナノ粒子を有機物と複合化することによって、ハイブリッド材料としての優位性を検証すること等が挙げられる。本発表においてはこれら研究を通して得られたシングルナノ複合体の特質と、その利用法について紹介させていただく。