抄録
関節軟骨の一部を置換する組織代替材料として、ポリビニルアルコール(PVA)の利用が研究されている。しかし、PVAは骨との結合性を示さないので、埋入部位での固定が課題となる。骨組織と直接結合する水酸アパタイトをPVAに複合化すれば、長期に安定した固定が達成されると考えられる。本研究では、水酸アパタイト/PVA複合体を得るために、リン酸三カルシウム(TCP)を含むPVAゲルを水熱処理し、柱状の水酸アパタイトの結晶を複合化する手法を検討した。β-TCPを出発原料に用い160˚Cで6時間処理すれば、柱状の水酸アパタイトとの複合体が得られることが明らかになった。