抄録
(Ba,Sr)TiO3は、高い誘電率や誘電率の電界依存性(チューナビリティ)を示し、DRAMや可変容量素子への薄膜応用が期待されている。しかし、薄膜の残留歪みが(Ba,Sr)TiO3の誘電特性に大きな影響を与えることが知られており、例えば約1%の歪みで強誘電相転移温度が200K以上変化するという報告例もある。
しかし、従来の研究のほとんどは (100)配向膜か多結晶膜で議論されており、歪みの配向依存性についてはあまり注目されてこなかった。本研究では、(100)配向および(111)配向を有するエピタキシャル(Ba0.3Sr0.7)TiO3薄膜における歪みの強誘電相転移温度に与える影響を、理論的・実験的に検証した。