抄録
メソポーラス酸化スズ (m-SnO2) は,高表面積・小結晶子径・高熱安定性とガスセンサ材料として非常に魅力的な特性を有するが,これまでのところ期待したほどのガス検知特性は得られていない。そこで本研究では,PdあるいはAuを担持することによりm-SnO2のH2検知特性を改善するとともに,それらのH2酸化活性やセンサ膜厚がH2検知特性に与える影響を明らかにすることを試みた。その結果,まず,Pdをm-SnO2へ担持した場合,SnO2の結晶成長を抑制し表面積も増大すること,Auについても少量担持の場合は結晶成長を抑制するが,多量に担持すると逆に結晶化を促すことがわかった。また,貴金属担持によりH2酸化活性が改善されること,その活性に応じてセンサ作動温度やm-SnO2膜の厚さを最適化することで良好なH2検知特性が得られることがわかった。