抄録
層状構造をもつタングステン酸アルキルアンモニウムナノ結晶のコロイド透明水溶液の室温での合成を検討した。これまでに我々は,チタンやニオブのアルコキシドと水酸化テトラアルキルアンモニウムを室温で混合するだけで,層状金属酸塩ナノ結晶の透明なコロイド水溶液が得られることを明らかにしてきた。そこで本研究では,チタンやニオブと同様にタングステンの系でもコロイド水溶液が合成できないかを調べた。原料として用いたタングステン酸(H2WO4)の層間を,長鎖アルキル鎖をもつアルキルアミンで広げた後に,層間のイオンを嵩高いイオンにイオン交換することで,チタンやニオブの系と同様な透明コロイド水溶液が得られることが分かった。