抄録
本研究では高周波誘導加熱を活用した新規溶液プロセスを開発し、100℃以下という低温での作製でチタン酸バリウム層の作製に成功した。回転式攪拌機の先端に固定したTi基板あるいはスパッタ法で作製したTi膜をBa2+イオンを含むアルカリ溶液中で高周波磁界(120kHz, 120 Oe)により1時間誘導加熱したところ、結晶化したチタン酸バリウム層がえられた。これらのチタン酸バリウム層の誘電特性を評価したところ、10 kHzにおいて実数誘電率 ε' が250程度、誘電損失 tan δ が0.1であり、水熱法により作製されたチタン酸バリウム膜の ε' = 80 とtan δ = 0.25に比べて優れた特性を示していた。