日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2011年年会講演予稿集
セッションID: 1I22A
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(平成21年度学術賞受賞講演)TEMその場観察による酸化物の微構造解析
*中野 裕美
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抄録
高温TEMを用いたその場観察は、材料の高温での現象論を理解する上で、新知見を得ることができる手法のひとつである。高温での構造変化、ナノスケールでの粒成長挙動など、様々な現象が明確になり、さらに観察結果と計算科学との融合により、独創性の高い情報をも発信することができる。ここでは、いくつかのセラミックス材料において、その場観察により得られた知見を報告する。
高温TEMその場観察により、水熱合成BaTiO3ナノ粒子の熱挙動および粒子表面でのBaCO3相の形成・消失機構を解明した。水熱合成BaTiO3ナノ粒子の加熱による密度向上の理由が、粒子内部の気孔(欠陥)の移動、消滅によるものであることを、約4時間に及ぶ高温TEM観察により明らかにした写真は、第29回日本セラミックス協会学術写真賞(優秀賞)受賞した。また、ナノ粒子の粒成長過程の高温TEMその場観察により、結晶性ナノ粒子が特異的な形状維持のまま体積拡散が進行していることを、計算科学との融合により明らかにすることができた。また、層状ペロブスカイトBaLn2Mn2O7(Ln=希土類)については、Pr系においてたった10分程度の短時間で生起する一次相転移を観察することに成功し、Mn3+イオンによる層状構造特有の相転移であることを示唆した。
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©  日本セラミックス協会 2011
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