抄録
Pd薄膜を用いた光検知式水素センサは、Pdの水素化による光学的特性の変化を検
出原理としている。膜厚が大きくなると感度は高くなるが、膜厚が数十nm以上に
なると水素化に伴うPdの体積膨張により、剥離や皺が発生するという耐久性の問
題が生じる。本研究ではスパッタ法によりPd100-xMgx薄膜を作製し、水素検知特性を評価した。膜中のMgの割合(x)を増加させると、高耐久性を示す膜厚の上限が増加する傾向が得られた。空気中と水素中の吸収係数の差(αAir - αH2)とMg含有量との関係から、Mg含有量が5~20 %の領域で、膜厚を適切な値に制御することにより、高い感度と高い耐久性を併せ持つセンサの作製が可能であることが示唆された。