抄録
タングステンブロンズ型構造のBa2NaNb5O15(BNN)とBa2NaTa5O15(BNT)の混合系であるBa2NaNb5xTa5(1-x)O15(BNNT)はNbとTaの組成比を変化させることでキュリー温度を変化させることができる.Nb/(Nb+Ta)比率が高くなるとキュリー温度は高くなり,人体の温度センサーとして利用可能な誘電率温度係数値0.2以上となるのはNb/(Nb+Ta)比率が0.4から0.55であることが分かった.RFマグネトロンスパッタリング法を用いて粉末ターゲットにてBNNT薄膜の作製を行った.Nb/(Nb+Ta)比率が0.4から0.55となるように酸化物粉末を調整し中央にくぼみがあるアルミニウム皿に固めてターゲットとした.NbとTaは目的組成を得ることができたが,Naは目的組成に対して減少することが分かった.また,BNN,BNT粉末を同様の方法で作製し,二元同時スパッタリング法により,ターゲットに負荷する高周波出力を変化させることでNbとTa組成を調整した.一元スパッタリングの場合と異なりNaは目的組成に近づいたがBaが減少することが分かった.