抄録
BaTiO3は室温でTetragonal相を有する典型的な強誘電体酸化物であるが、その強誘電性は様々な条件(欠陥・不純物、応力、微粒子化、など)によって強く影響を受ける事が知られている。特に自由電子が存在する条件下では分極が遮蔽されることによって強誘電性は抑制されると考えられているが、実験的な電子ドープには必ずドナー・ドーパント(酸素欠陥、Nb5+ at Ti4+ site、等)が伴っており、キャリアの影響と同時に元素置換による格子歪の効果が含まれてしまう。このため、強誘電性の消失に関するキャリアの影響とドーパント原子による格子歪の影響を実験的に切り分けることは非常に難しい。今回我々は、第一原理計算を用いてこれらの影響を個別に明らかにした結果を報告する