抄録
Arプラズマガンを用いたプラズマ蒸着法により、Tiターゲットを窒素雰囲気中で多結晶WC焼結体鏡面研磨面上に反応蒸着させることにより、TiN薄膜を形成した。成膜条件のうち、成膜温度を100~400℃まで変化させたところ、いずれの条件でもTiN薄膜は50nm程度の微細な柱状晶により構成されていたが、基板温度が高い条件ほどWCとTiNの結晶界面にエピタキシャル成長が発現した。面内TEM観察により、二軸配向した微細組織は面内方向に高いアスペクト比を持つ直立平板状組織を有し、鏡面研磨面上の高次面上での拡散挙動に、シュワーベル障壁による異方性が生じたものと考えられる。基板に印加する負バイアス電圧を増加させると、WC結晶粒上で成長した微細組織の粒界が不明確となり、1つの単結晶上に1つのTiN結晶粒が形成されることがわかった。