抄録
これまでに、液相中の粉体や基板ターゲットに高フルエンスのパルスレーザー光を照射することで様々なナノ粒子が得られる研究が数多く報告されてきた。これに対し、我々は液相中のナノ粒子に対する比較的低いフルエンスのパルスレーザー光照射によってサブマイクロメートル球状粒子が得られる現象に着目してきた。これらの大きな違いは、従来の高フルエンス領域では主にアブレーションによる激しいターゲット物質の放出が起こっているのに対し、我々が着目する低フルエンス領域では主に溶融が起こっている点である。この低フルエンス領域ではレーザー光のエネルギーの吸収による原料物質の溶融液滴化や、さらに溶融液滴同士の融合が起こっていると考えられ、表面が滑らかで原料粒子よりも大きなサブマイクロメートルの球状粒子が得られるのが大きな特徴である。本研究では幅広い用途を有する酸化チタンナノ粒子を原料とし、水とエタノール中でレーザー照射した場合の比較を行った。