抄録
Si3N4結合SiCセラミックス(SNC)の酸化に及ぼす予備酸化時の酸素分圧(PO2)の影響について評価した。PO2=100 Paで処理した場合、クリストバライトの生成が確認されたが、PO2=105 Paの場合は非晶質SiO2が生成した。試料表面深さ方向のSIMSプロファイルより、低PO2で処理した試料の方が、酸化層中のNa濃度が高いことが確認された。Naの熱力学的平衡蒸気圧がPO2の低下に伴い増大することから、低PO2におけるクリストバライトの形成は、多孔質のSi3N4結合層に偏析するNaが外方向に気相拡散し、SNC上のSiO2層中に濃化したことが原因であると推察される。