抄録
酸素透過膜として利用されるCeO2は、低酸素分圧下では還元しCeO2-となるため、ポーラロン(Ce3+)と酸素空孔が発生し、電子・イオン混合伝導性を有す。このような伝導特性の起源を原子・電子レベルから明らかにするため、CeO2中の酸素空孔とポーラロン(Ce3+)の相互作用とポーラロンの酸素空孔の拡散に及ぼす影響について、第一原理計算を用いて算出することを試みた。計算の結果、酸素空孔とポーラロンは強く会合していることが明らかになった。また、酸素空孔がホッピングする際にポーラロンが近接していると、ホッピングの活性化エネルギーが低下することが分かった。以上のことから、酸素空孔とポーラロンは会合しながら系内を移動していることが明らかとなった。